バルケッタはエンジンの異音修理
タイミングベルト交換の際に出来る事
コンディションの良いバルケッタは、車検整備でのお預かりです。今回のメインはタイミングベルト廻りの整備です。年間の走行距離は少なく、距離での管理と言うよりも年数管理でのベルト交換をご案内させて頂いています。バルケッタ、デビュー当時は台数も多かったのですが、減りましたね。現存するのは新車からのワンオーナーで長期的に愛情を注がれていた個体でしょうか。このバルケッタもその例に沿った一台です。
1年に1度、もしくは2年に1度のお預かりをさせて頂き、その時々に合わせ必要となる整備を行っています。各部の状態は良い個体なのですが、ここ何年も気になっていた事が有ります。エンジンの始動時にガラガラ~っと昔のディーゼルエンジンの様な、好ましくないサウンドを轟かせています。綺麗な車なのに、非常に残念な瞬間です。オーナーはあまり気にされていないのか、慣れてしまっているのか、その事への主張は無いのですが、エンジン始動の度に気になります。
今回はタイミングベルトを交換しますので、ガラガラの鈍い音の原因も合わせて取り除こうと思います。
バルケッタに搭載されているエンジンは、1.8Lのツインカムです。内部構造はアルファロメオとほぼ同じですが、バランスシャフトは備わらずプントHGTと似ています。この辺りの車も生産終了部品が増えてきていて、時折部品にヒヤッとさせられます。メカニカルな消耗品はほとんど揃うのですが、やはり樹脂・ゴム関係は品薄ですね。
補器類を駆動するベルトはヒビヒビな状態でした。マイナーな事ですが、バルケッタにも当社オリジナルのクランクプーリーは装着が可能です。
分解前に各部を点検していると、クーラーコンプレッサに挟まれた異物を発見です。
これ、ベルトを外すと分かりましたが、以前のベルトの切れ端の様な物でした。コンプレッサのプーリにこびり付いてしまっていて、除去するのに実は結構苦労しました。
ガラガラ異音の発生源はこの部品ですね。バルブタイミング・コントローラのバリエータです。手に持つ方は、既に交換した部品です。インテークカムシャフトに装着されていて電磁ソレノイドの通電により作動を制御し、最終的には油圧で駆動されます。オイル管理が良く無いと異音を発する事が多いです。
交換するには、インテーク・エキゾースト両方のカムを外す必要があるので、カムシャフトシールも交換し組付けを進めて行きます。
この後のエンジン始動において、数日ぶりにエンジンを始動しましたがガラガラ音が消え、爽やかな始動に思わず嬉しくなります。
この後、油脂類を交換し引き続き作業を進めます。
Written by Hashimoto