現行ルノーのクランクプーリ 要チェックです。

車検整備でお預りしました、ルノーカングー2です。
お客様からのご依頼事項ではありませんが、試運転や移動の際に気になる異音が発生して
いるので点検を行う事にしました。

エンジン始動中に室内に響いてくる不可解な音「コンコンコン」っとリズミカルに刻みます。
音の発生箇所がどこからなのか?を確認すると...

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クランクシャフトのプーリより、異音が発生している事が分かりました。
向かって右側は新品のプーリですが、形状・見た目が外した物とは異なる事がわかりますね。
取り寄せた方は、対策品への変更後の物という事になります。

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この部分にクランクプーリは装着されています。
部品を取り外す前の、目視の状態でのチェックポイントはプーリ及びその周囲に茶色い錆び粉が
付着しているかどうか。
不具合を確認した車輌は、プーリ本体やタイミングベルトカバーに画像の様な錆びが付着していました。

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プーリ本体を確認すると、やはりダンパー機構の劣化・損傷である事が分かりました。
プーリの内周と外周の境界線が力の掛け方により広くなり、狭くなりと動いてしまいます。

走行距離は、4万キロを越えたあたりですのでこの機会にタイミングベルトの交換も合わせて行う事となりました。
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ベルトの劣化は、ベルトの背の部分に縦方向の細かなひび割れが生じていました。
日本の車では、タイミングベルト=10万キロ が目安の様ですね。
でも欧州車の場合、その半分程の走行距離で交換推奨なる事が多いです。

最近ではタイミングベルト式からタイミングチェーン式へと移り変わる車輌が多いですが、まだまだベルト比率の
方が高いのが現状です。何らかのトラブルが発生する前に、交換するのが一番です。

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クランクプーリのセンターボルトは最終的な増し締めはトルク管理では無く、規定のトルクにより締め付けた後に
規定の締め付け角度で管理します。
塑性回転角法と呼ばれる締め付け方で、大きな力を受け止める箇所や、シリンダヘッドボルトの締め付けの
際にも用いられる方式です。
重要な締め付けが必要となる箇所には、画像の様なアングル&トルク レンチで締め付けを行います。

プーリ破損や、タイミングベルトへの損傷が発生する前に対処が出来て安心しました。

今回のケースの様にお客様の感じる不具合では無い場合でも、当社内での作業中に気付く異常も多々あります。
その結果としてお客様にとっては、不意の出費となる事もありますが、トラブルを未然に防ぐという意味の
効果は大きいと思います。

 

 

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