プジョー508 各部のリファインをスタートしました
ステージ3メンテナンスの開始


当社に入庫するお車の中では、珍しく大型の部類に入るプジョー508です。
今回は、基本整備を交えながら、各部のリフレッシュを行います。
ステージ3メンテナンスを行いますので、先ずはダイナモ計測から始まり、カーボンクリーニングを施します。

筒内直接噴射式エンジンですので、エンジン内部に汚れが溜りやすく、その汚れがきっかけであらゆる弊害をもたらします。

ん?でもちょっと待って。
直噴エンジンが何故、内部に汚れが溜りやすいかってご存知でしょうか。

従来の噴射方式と根本的に大きく異なることに、燃料を噴霧する場所の違いが挙げられます。
直噴エンジンと呼ばない噴射方式の事を、ポート噴射式と言います。
キャブレタ時代と同様に、演算された燃料はインテークバルブをめがけて噴射されます。
燃料には、洗浄成分としての効果も含まれるため常にインテークバルブ及び吸気路を洗浄しながら、エンジンは始動し続けることになります。

対して、直噴方式はインテークバルブのもうひとつ向こう側に燃料を噴射します。
エンジン燃焼室の中、ピストントップをめがけて噴射を行います。
そうです。とても高圧状態の部屋に燃料を吹き込むのです。
ですので、噴射圧力は非常に高く、供給側燃料ポンプの圧力では全く足りない為、エンジンのカムシャフトと同軸で駆動される昇圧装置でもの凄い圧力に高める必要があります。
これを高圧ポンプと言って、プジョー・シトロエンの1.6THP搭載車両ではトラブルをよく引き起こす箇所でもあります。
BMWミニの場合でも同様です(取り扱い外の車ですがモデルによってはエンジンは同じです)。

エンジンが始動し続ける間、吹き返しという現象がどんなエンジンにも発生しており、燃焼ガスの一部がインテークバルブ側に戻ってしまうという仕方の無い損失が発生します。
燃焼エネルギ損失の一部であります。
排気ガスが吸気側に一瞬戻ることになるため、インテークポート及び吸気バルブには排ガスに含まれる成分が汚れとして蓄積されることになります。

ポート噴射式の場合は、この吹き返しにより生成される汚れを、燃料により洗浄し続けているため吸気側に汚れが溜ることは殆どありません。
直噴式の場合、その役割を担う事が出来ない為、小さな積み重ねが大きな汚れの蓄積に繋がると言う事です。

長くなりましたが、その様な理由から直噴エンジンは定期的な外的洗浄作業が効果的と言う事です。
燃焼室を綺麗に保つ事、吸気経路を綺麗に保とうとする事。これがエンジンのベストコンディションを保つ上で必要不可欠です。

それらをセットメニューにしたのが、基本整備の1つ「ステージ3メンテナンス」です。

カーボンクリーニング施工後は、エンジンオイルが非常に汚れるため、オイル交換は1回のみでは無くフラッシング作業も行い、計2回のオイル交換を行います。

ATFがエンジンオイル並みに真っ黒に変色していました。


エンジンを回しながら、AT油路を洗浄し、綺麗なオイルが排出されるようになるまでオイル交換を繰り返します。

最後にフルードレベルの調整を行います。
真っ黒なATFにはちょっと危険が潜んでいるようにも思えますが、そのまま走り続けるのは決して良い事ではありません。

各部作業を進め、続いて「ステージ1メンテナンス」の施工に移ります。

Written by Hashimoto

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