プジョー206RC タイミングベルトが半分切れた?

今回作業を行った206RC、エンジンが始動しないという件でレッカーにて入庫です。

調べてみると、エンジン本体の圧縮がありません。
こういう時、真っ先にタイミングベルトの不安がよぎります。
でも、この車輌の場合、カムシャフトは回っているのですね。

恐る恐るタイミングベルトのカバーを開けてみると..?
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なんだ?こりゃ!と目を疑う状況に!
見ると、ベルトが半分ほどの細さになっています。
でも切れていないので、なんとか繋がっている、といった状況です。

カムシャフトプーリとクランクプーリそれぞれの位置関係をチェックすると、エキゾーストプーリの
合いマークが大きくずれていました。

内視鏡を使った確認で、プラグホールから除いてみると、ピストントップにはバルブの干渉した痕跡が
残っています。
さらに、エキゾーストバルブの方へカメラを向けると、閉じなくなったバルブが確認できました。

通常、ベルト切れの場合はエンジンにもよりますが、全てのバルブが損傷を受け、曲がります。
修理するにはシリンダヘッドを取り外し、バルブ全数の交換や、バルブシートカット等の加工作業も必要になります。

16バルブの場合、バルブ代金・加工代金のみでもそこそこな金額になりますが、今回は不幸中の幸いとも言える、
そんな状況でしょうか。

お客様との打ち合わせ・お見積り作成などを行い、分解作業を開始します。

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ベルトカバーや、その周辺箇所には削れたベルトの残骸が無数に残っています。
外したベルトと、新品のベルトの比較。恐ろしい位にスリムになっています。
無理なクランキングを続けていたら、あと数回の回転で切れたのではないでしょうか?

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排気バルブの配置される側のピストントップに、バルブ干渉の痕跡を確認できます。

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真っ直ぐで無くなた排気バルブ・ぐにゃぐにゃですね。
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対して、新品のバルブ。真っ直ぐです。
RCのバルブスプリングは、テーパー型でした。上下の向きが決まっています。
プジョーのバルブスプリングは、上下同寸である事が多いですが、珍しいですね。

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曲がったバルブは交換しますが、曲がったバルブ側のリフターも安全のために交換します。
以前にアバルト500のエンジン修理を行った際には、リフタに無理な力がかかり、破損していたケースもある為
単体点検の不可能なパーツは交換します。

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各部の調整・すり合わせなど行い、ヘッド本体が順調に組みあがっています。
綺麗なエンジンパーツは、見ても触れても気持ちの良いものです。

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ヘッドを搭載する前に、ピストントップの清掃を行っています。
かなりの量の固形物がびっしりと付着しています。
今回は、スクレッパを用いなければ剥がせないカーボンでした。
カリカリと削り取り、除去します。
できれば溜め込みたくは無い汚れですね。
カーボンクリーニングを定期的に行う事で、この状況は回避する事が可能です。

また、カーボンクリーングによりこのカリカリカーボンがどうなるか?をまとめた記事もあります。
カーボンクリーニングの真髄ここにあり!をご確認下さい。
洗浄液により、固着した汚れが軟化するというのがよくわかる例をまとめています。

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そして、ドッキング~組み付けです。
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潰れたエンジンマウントの交換も同時に行います。
このタイプのマウントが装着されるボディ側も注意が必要です。
今回は、マウントの凝結ナットが供回りする、という事態も発生しました。
サーキット走行を繰り返す車輌の場合、ボディの鉄板が割れている事も多々あります。

素行距離を重ねても、ウィークポイントを知り、手当てをしながら一層永く乗り続けることが可能です。
年数経過・走行距離の増えたラテン車をビシッと整備したい!そんなご相談もお待ちしています。

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