パンダ2 デュアロジックやクラッチ系統のメンテナンス


パンダ2デュアロジックは、ご新規様の初診点検後のお預かりとなります。パンダ2は非常に名車で、しっかりとしたメンテナンスを施せば長期間に渡り楽しめる車です。燃費についても上手に乗ればすこぶる好調でして、アクセル踏み気味で飛ばすハイブリッドよりも、パンダがエコカーで有ることを証明できる位の高燃費を叩き出す事もしばしば。

今回は、クラッチメカニズムのオーバーホールを中心に、消耗箇所の整備とステージ1メンテナンスを進めていきます。
まず最初に驚くのは、取り外したクラッチカバーとベアリングが一体化している事。

持ち上げてもその状態を維持しています。

ここまで一体化されると、こういう部品なのかとも思ってしまう程の一体化です。
どういう理由でこの形になったかは不明ですが、初めて見るケースに驚きます。

クラッチディスクは非常に減っていました。

厚みを測ると。

約2ミリの差です。これだけ減っていては、デュアロジックアクチュエータもさぞかし大変だった事でしょう。
クラッチ機構は、ディスクの厚みが薄くなるとカバーのダイヤフラムスプリングが立つ為、クラッチを切る際の踏み込み力が必要となります。マニュアル車で有れば左足でクラッチを操作しますので重さに気付くのですが、自動的にその操作を行うデュアロジックの場合は弱音も吐かずに頑張って重たいクラッチを操作してくれます。

クラッチを操作する部分と、シフト変速を行う部分全てが一体なのがデュアロジックの難点でして、クラッチ操作が重たいとどうしてもアクチュエータに負担がかかります。油圧も沢山必要になり、ポンプ作動回数も増えます。とても短いレバー比によって操作されるクラッチ操作は、想像以上に重たい物を押し込む仕事を行っています。

なので、クラッチが減るとおのずとアクチュエータの劣化も進行してしまいます。

今回は、アクチュエータを最新の物に交換することにしました。

高価ではありますが、安心感が大きく変わります。

パンダ2の場合、フライホイールボルトはトルク管理で締め付けますが、ボルトが新型に変わっている為締め付け方法が変わります。
現行のチンクと同様の、トルク締め付け+角度締め付けで管理します。


トランスミッションもキレイに洗浄を行い、シールやフォーク&ベアリングを交換します。


レリーズフォークは、丸棒にフォーク部を溶接して完成している部品です。
ベアリングが取り付けられる先端形状は、永年の使用により消耗していました。

珍しく大きなガタつきの発生していたフロントハブベアリングも同時に交換を行います。

ガタつきの影響からか、ABSセンサーのチョッパーマグネットに多量の錆びが付着しています。

この後はベアリングを組替え、フレーム廻りを組み付け、引き続き作業を進めます。

Written by Hashimoto

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