電子部品の不具合の特定
エンジンの不調・不具合には色々なケースがあります。
それを診断するのにも様々な手段があります。
今は便利な世の中ですから、エンジン不調→診断テスタ というのが一般的な流れです。
症状を確認しただけで、大体の予測のつくトラブルもあります。
当社でも色々な不調を色々な手段で点検しています。
今回の症例は、チェックランプが点灯し、警告メッセージが表示され、エンジンの吹け具合・アイドリングの状態
にばらつきがあるという内容でした。
ある程度の推測がつき、テスタの結果も予想通りの内容でした。
部品を交換すれば治る確証がありましたが、原点に戻って遠回りした診断をしてみました。
テスタに入力されたエラー情報と、車輌のエンジンルームです。
イグニッションコイルの不良ですね。
コイルの不具合が発生している際に、1次側の信号線にはどの様な波形が出力されるのでしょうか。
車輌は、4気筒 独立点火システム車輌です。
2chオシロスコープの2系統を接続していますので、上図の青色の様な波形が2個出力されるべきです。
ところが、赤色の波形は矩形派が微量に立ち上がるのみで、後に続く波形が確認できません。
これがコイル不良により、1気等の点火ができていない状態を意味します。
波形で確認できているのは、ECUより出力される点火信号を拾っているという事になります。
ここで、コイルを交換しましょう。
すると、先ほどの信号線が点火波形へと変わりました。
コイルが火を飛ばす事が出来る様になったからです。
オシロスコープの使い方としては非常に単純なものではありますが、こうする事でテスタが無くとも、
不具合の発生しているコイルを特定する事は可能です。
こちらは、テスタによる実測値の点検です。
確認しているのは、燃料噴射の時間です。
左は、不調発生時のもの、右は正常時のものです。
不調な時は、スパークの出来ないシリンダがあるわけですから、燃料を噴射してしまうとシリンダ内に燃えない混合気が入り、オイルの燃料希釈が誘発されます。
なので、ECUの判断により特定のシリンダへの燃料供給を停止する様になっています。
正常に戻れば、上下に波をうっていたグラフは横方向に伸びる噴射状態へと戻りますね。
車のトラブルは、お客様にとって悩ましいものです。
同時に私達も、色々なトラブルに悩みながら向き合っています。